| 料理の蘊蓄 フグ |
フグの食べ方にもいろいろあるがここでは私なりの蘊蓄を述べたい。
まず、フグ料理に深くかかわっているポン酢について私はこう思う。
一年中食べることができるフグだがやはり季節を取りこんだ料理でありたい。
スダチ、ダイダイ、カボス、ゆず、ユズ吉、いろんな柑橘類があるが食べるところで採れるもので作りたい。よくポン酢はこうでないと! なんて言う方がいらっしゃるが季節があるのでどうしても一定の酢の保存は難しくなってきます。それよりかは食べるたびに変わるポン酢の方が季節感がでておいしく感じるのだがどんなものでしょう。
毎回、味が違うので何度食べても飽きがこないものだ。
醤油で割るわけだが醤油も地のものがよいと考える。山口の醤油でまだ加工されていない生醤油が手に入ればこれにます物はないように思う。俗に言うモロミです。
これは発酵するので冷蔵庫で保管する。香りのなんと良い醤油であろうか。私はこの醤油を2次、3次加工したモロミと合わせてカツオブシとコブで味を整え、刺身醤油としている。これを使うとよりいっそう刺身がうまくなる。この合わせた醤油でポン酢を作るとまたフグもおいしくなるからたまらない。営業用のポン酢は大量に使うので合わせたものを貯蔵するようになるがこちらは複雑な配合となるので少量の合わせではできない味に仕上がっている。 やはり楽しみとして食すには上のものがよかろうと思う。
それにネギですが、これもアサツキがいいやら、小ネギがいいやら、小口に切ったものがいいやら、3センチに切りそろえたものがいいやらいろいろ言われる。
私としてはどうでも良いことだがやはり ワケギネギが一番好きで最近はフグ用に作ったアサツキぐらいの太さのワケギはあまり見ることがなくなった。
これを使って2〜3センチに切りそろえたものと小口に切ったものとを二通り用意する。
モミジオロシは市販のものでもよいがこれも大根に穴を開け、タカの爪を何本か埋め込んですりおろしたものを絞り使用するといいと思う。
キモはカワハギのキモで代用するとこれまたうまい。
生きたカワハギのキモをさっと湯どうしし、たたいて小鉢に入れて添えておく。
これを薄くひかれた身の上に乗せ、3センチぐらいに切ったワケギとモミジオロシを巻きこんでポン酢につけていただく。
これまた、うまい。
皮も一緒に巻いても
うまい。
ここで知っておかなければいけない。
大きな皿に盛られた刺身は外側から取っていくのではなく、内側から取っていく。
これは当然、外側から盛りつけたのだから内側から取っていかないとうまく取れない。
柑橘類をそのまま切って使えるようにしてあるものは席でポン酢を作るがこの時も、切り口を上にむけ少し左に傾け右手で絞り左手でその上にあてがい汁が飛ばないようにして器に絞り入れる。これはどんな時でも柑橘類を絞る時、こうしてもらいたいものだ。
余談だが当然、マツタケの土瓶蒸しの時のユズは土瓶に直接絞り入れるのでなく、お猪口に注いだダシに飲むたびに好みで絞り入れる。
これは土瓶に直接絞り入れると味がたちまち変化して2杯目からはうまいものではなくなってしまっている。科学的にはよく説明できないが飲んでみるとすぐ解ることなので試してもらいたい。そして、マツタケとユズのようなとても相性のよい組み合わせを(出会い物)と称している。(ブリ大根)もそうでブリと大根がお互いをひきたてていてこの場合も(出会い物)とみなしてよいと思う。
私は、フグは厚く切ったものの方が好きだ。
できれば細切りにしたフグにワケギを刻み混ぜ、キモを合えてそいつをポン酢でやるとたまらなくうまい。
だが、なかなか高いものなのでめったにできないから残念だ。
鍋については季節の野菜とあらと、キノコ、豆腐があればうまい鍋となる。
ダシはカツオブシとコブでとり、薄口醤油1 : 味醂1 : ダシ15の割合で鍋用の合わせダシを作る。
これに好みで沸騰した鍋にいろいろ入れ込んでいく。
決してダシが冷たいままの状態から入れないようにしたい。
どうも、あくがでるし、へたをするとダシが濁ってしまう。
煮えてくると適当な時に取りだし、ポン酢に小ネギとモミジオロシを加えてそれにつけて頂く。
忘れてはならないのがやはりフグ酒であろう。これもうまいものなので試してもらいたい。
ヒレは解体した時に板とかに貼り付けて乾燥させる。分厚いものは二枚にそいだ方がよかろう。
これを遠火であぶり、きつね色になったら、うまそうな匂いがしてくる。
このあぶったものを湯のみなどに入れ、かんかんにつけた酒をそそぐ。
これにフグ酒用の器であればフタが付いているが私はどちらでもよいように思う。
ただ、フタを取ってマッチで火をつけ酒の上に持っていくと火がつくので楽しいものだ。
味については変わらない。
香りとフグのダシとお酒の味を楽しみたい。
フグの中骨を干したものをあぶって同じようにするのも骨酒としてうまいものだ。
沢山フグがある場合は松葉におろしたものを干して乾燥させ貯蔵するのもいいものだ。
これをあぶってはするめと同じようにして食べるもよし。
味は少し落ちるが、この乾燥保存されたものを灰または石灰などを入れた水で戻すと元のようにもどるのでこれを煮付けたりしてもよい。
トウト身とか皮なども鍋にするがこれはゼラチン状のものなので煮過ぎない方がよいようだ。
いろんな部位の鍋を楽しんだ後に絶対してもらいたいのが、雑炊だ。
フグといえば雑炊と答えてもよいぐらいで最後のお楽しみとしてはこれほどのものはない。まだ鍋の中に残っている野菜とかいろいろの物をすべて取り除いて作る人もいるが、私はそのままにしてそれにダシがたらないようであればたして、沸騰させ、ご飯を入れて作る。卵を箸で10回かき混ぜ、(ここでそれ以上かき混ぜてはいけない。卵の味が落ちてしまう。)そそぎ入れる。
これで完成だが、ここでやってはいけない事を紹介する。
トンスイに残ったポン酢を捨てたり、新しいトンスイを要求するのはやめて頂きたい。
まず、雑炊の一杯目はこの残ったポン酢が入ったトンスイに雑炊を入れて食べてみてほしい。2杯目がすかさず欲しくなると思う。
この、一杯目の為にここまできたようなものだ。 最後のこの一杯をあじわわないでフグを食ったと言ってもらいたくないほどうまい。
この味を覚えると2杯目も少し、ポン酢をさして頂く人も少なくない。
ここで、料理屋にいき、別のトンスイを要求すれば、フグを食ったことがないのがすぐばれてしまう。
ご用心!!
白子を最後の雑炊用にとっておいて混ぜて食べるもまたいいものだ。
白子を丸ごと食べたいがなかなかそうはいかないので雑炊に入れるのがみんなのためかもしれない。
とうとう、すべて食ってみると、なにか?忘れ物をしてることに気づく。
そう、やはり、食べてはならないフグのキモであろう。
これもどうにか食べてみたいものだ、(決して、一人判断で料理されないようにお願いする。別ページで詳しく説明しているので参考にしてもらいたい。)