フグは古くは「フク」と呼ばれていた。 平安時代に著された「和名類集抄」
(931年)には「布久」の名がある。
この名前の由来にはいくつかの説がある。第一は布久とはフクるるの略で、
この魚が怒ると腹をフクらませるから、またフクれるとフクベに似るからという。
第二には、布久は「吹く」から来たとする。
この魚は胃の一部が特別な袋になっていて、この中に水を飲みこみ、
時々吹き出して砂中の餌をあさる。朝鮮語ではフグをポクと呼び、
児童語でポッキンとも呼ばれる。朝鮮語のポクにはフクれるの意があり、
上代の日本語には半濁音がなかったから、ポクがホクとなりフクになったとする。
現在、九州の天草方面では小フグをブッキンと呼び、
九州西・南部の漁業者間でブクという呼び名が使用されているのも
この根拠になるという。
漢字のフグ「河豚」は中国の揚子江や黄河に生息するメフグに由来する。
このフグは東シナ海や南シナ海にもいるが、中国では古来美味な河魚として
揚子江の同庭湖付近では賞用されていた。
中国で美味なものの代表である豚の名がこの河魚に結びついた、
あるいはフグが丸々としていて、豚に似ているので河豚になったという。
大阪でテッポウ、これを略してテツと呼ぶのは当たれば死ぬの意で、
長崎県島原のガンバは棺を用意して食う意味である。
一方、千葉県銚子のトミは、富クジのように当たらない意という。
フクの一般的な特徴
フグは一見して誰でもフグとわかる形をしている。
体は長い球形で、うろこ(鱗)はなく、ひれ(鰭)は小さく、口も小さい。
一言でいうと、フグはタイやカサゴなどと異なり、生物学的に特化傾向が強い魚である。
体の表面には小棘(トゲ)が散布するか、あるいはマフグのようにまったくない。
この小棘はうろこが変化したもので、うろこがないことが身を守るために
皮を厚く、丈夫にしている。
ひれは小さく、固い棘(棘条)を欠く。これはカサゴなどのような棘のある大きいひれから
変化したものである。
腹ひれは全くない。泳ぐ時には他の魚と違って、背ひれ、臀ひれを同じに左右にふって、
体を動かさずに前進する。
こなため、背ひれと臀ひれを動かす筋肉は発達するが、
一般の魚にみられる体側筋は著しく退縮している。

フグの開いてまず目につくのは大きい肝臓(キモ)、うきぶくろと消化菅である。
産卵期が近づくと、内臓の半分以上を占める卵巣(マコ)か精巣(シラコ)が目立つ。
肝臓は一または二葉からからなり、この中に緑色の胆のう(ニガブクロ)がある。
大きい胃袋は腸管とひとつながりになり、胃に水や空気を入れて膨腹することができる。
腸管の間に脾臓、うきぶくろの前部背壁に一対の腎臓(カクシギモ)がある。
フグは特殊な菌を持っているのでさまざまなものを食う。天然のトラフグの胃袋を調べると、
海底のエビ、カニ、二枚貝と巻貝、ゴカイ、ヒトデ、海綿、サンゴ片などから遊泳性の
イワシ、サバなども認められる。
フグの特徴の一つは体の各部にフグ毒(テトロドトキシン)をもつことである。

近年、フグの一体に卵巣と精巣を合わせ持つ両性フグが発見されている。
この卵巣と精巣の形態をみると、生殖巣の卵巣と精巣が重複するように
基部までくっついているもの、また背中合わせにくっついているもの、
卵巣が精巣を包んでいるもの、さらに境界膜もなく卵巣と精巣が融合しているものなどが
あると報告さらている。
これらのフグの生殖巣はすべて食用に供してならない。

毒力
物の長さは、ものさしで測って求めるが、毒の測定にも基準となるものが必要で、
フグ毒の場合はマウス(ハツカネズミ)を利用して単位を定めている。
この単位とは学問的に仮定したもので、1マウス単位(MU:mouse
unitマウス・ユニット)
とは体重20gのマウスを30分で死亡させる毒量をいい、臓器1g当りの毒量をMUで
表したものが毒力(MU/g)である。
この単位を基準として毒力がどの程度あるか測定するわけである。
例えば、臓器10gの抽出毒で体重20gのマウス10、000匹を死亡させたとすれば、
臓器10g中の全毒力は10、000MUで、毒力は10、000MU÷10g=1、000MU/g
となる。
大人一人に対するフグ毒の最少致死量は10、000MUと推定されている。
| 無毒 | 10MU未満 | 1kg以下では致死量にならない。 |
| 弱毒 | 10MU以上100MU未満 | 100gから1kgで致死量となる。 |
| 強毒 | 100MU以上、1、000MU未満 | 10gから100gで致死量となる。 |
| 猛毒 | 1、000MU以上 | 10g以下で致死量となる。 |
フグ一尾の毒量
| 種名 | 卵巣 | 肝臓 | 最大全毒量 |
| マフグ | 5名 | 32名 | 33名 |
| トラフグ | 12 | 10 | 13 |
| ヒガンフグ | 2 | 11 | 11 |
| コモンフグ | 2 | 7 | 7 |
| ショウサイフグ | 3 | 1 | 4 |
| シマフグ | 4 | 2 | 4 |
| アカメフグ | 2 | 0 | 3 |
| サバフグ | 0 | 0 | 0 |
| カナフグ | 0 | 0 | 0 |
毒力
「猛」は猛毒、「強」は強毒、「弱」は弱毒、「無」は無毒を示す。
| 科名 | 番号 | フグの種類 | 卵巣 | 精巣 | 肝臓 | 皮 | 腸 | 肉 | 血液 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| フグ科 |
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| ハリセンボン科 |
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